「男性の育休」にはメリットがたくさんあります!。
助成金や取得期間についてご説明します
イクメンという言葉が広がり、育児に積極的な男性が増えているにもかかわらず、男性の育児休業の取得率はいまだ低い水準にとどまっています。
厚生労働省は、「出生時育児休業」の新制度を整え、男性の育児休業取得率を上げていこうとしています。
そこで今回は、育児休業について、たくさんある取得者のメリット、企業側のメリットについてもご説明いたします。
育児休業とは?
育児休業は、1歳未満の子を養育するための休業で、子育て中の労働者なら男性、女性にかかわらず、利用が可能です。
子ども1人につき、原則1回取得できます。保育所に入所できないなどの事情があれば最長で2歳になるまで延長できます。
パートやアルバイトなど雇用期間に定めがある労働者も、一定の要件を満たせば利用できます。
男性が育児休業を取得するとお得な特例もあります。
いわゆる「パパ休暇」です。

「パパ・ママ育休プラス」という制度も利用できます。


「パパ・ママ育休プラス」は、両親がともに育児休業をする場合に、以下の要件を満たした場合には、育児休業の対象となる子の年齢が、1歳2か月にまで延長される制度です。
要件
① 配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
② 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
③ 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
〇 1人当たりの育休取得可能最大日数(産後休業含め1年間)は変わりません。
それでは次に、育児休業のメリットを取得者側、企業側に分けてご説明いたします。
取得者側のメリットとは?
《育児休業給付金》
育児休業中は就業規則上、無給としている企業が多いようです。しかし、雇用保険に加入しており一定の要件を満たしていれば、「育児休業給付金」が雇用保険から支給されます。
額面は、最初の6カ月は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」、それ以降は50%となっています。
《社会保険免除制度》
給付金の他に育休中は、厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料が免除される制度があります。これらの保険料の負担額は所属している健康保険組合によって異なりますが、月収の14%ほどです。
《税負担の軽減》
育児休業給付金は非課税なので、育休中に無給となった分に応じて所得税と住民税(次年度分)の負担が軽くなります。
これらを合わせることで、育休中は休業前の手取り月収の実質8割ほどがカバーされることになるのです。
《産後うつの予防》
お金以外のもう一つの大きなメリットは、妻の産後うつの予防です。
女性は産後、ホルモンバランスの崩れや、24時間慣れない育児に対応しなければならない責任が重なり、産後うつになりやすいと言われています。
出産後に夫婦で助け合いながら育児に取り組むことは、妻の産後うつの予防にも繋がります。
《女性のキャリアロス期間の短縮》
また、夫が育児に参加することによって、妻の負担が減り、その分、妻は復職を早めることができるなど、育児によるキャリアロス期間を短縮できるでしょう。
企業・職場のメリットとは?
《認定制度によるイメージアップ》
子育てサポート企業の証である「くるみん」のほか、「イクメン企業アワード」など、国や地方公共団体の認定制度の取得や表彰へ応募することで、社外からの評価が高まり、イメージアップを図れるという側面があります。
これらの公的な認定制度のマークを採用のPRに使うことで、優秀な人材の採用・確保・定着へとつながるなど、企業側のメリットは多々あります。
《社員の帰属意識の向上》
男性の育児参加への理解が深まり、従業員の多様な事情に配慮した制度の導入、取組実施により、職場の雰囲気が大きく変わります。会社に対する満足度・帰属意識が向上し、離職率の低下も期待できます。
男性社員にとって育児休業を長く取れる組織ほど帰属意識や仕事の意欲が高まるというデータも示されています。
《業務の効率化》
育休取得による引継ぎの際に、業務の棚卸し・見える化を行うことで、「本当に必要な業務」が明確になり、業務マニュアルの作成等により、業務の属人化も排除できリスク管理にもつながります。
《助成金の受給》
男性が育児休業を取得する風土づくりを事前にし、実際に男性労働者に育児休業または育児目的休暇を取得させた事業主に支給される助成金があります。
<出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)>
子育てパパ支援助成金は下記の図に示す3種類あります。
①1人目の育休取得
②二人目以降の育休取得
③男性の育児目的休暇の導入・利用

《主な要件》
①②男性の育児休業取得
・育休に入る前に育休を取得しやすい風土づくりをおこなっている
→ 例:管理職や労働者向けの研修、男性の育休向けの資料配布など
・連続5日以上の育休(労働日が最低4日以上あること)
・育休の制度を就業規則(育児介護休業規程)に定めていること
最新の法改正(令和3年1月1日)に対応していることが必要です。
・一般事業主行動計画の届出およびホームページ等への公表を行っていること
・対象者が雇用保険の被保険者になっていること
③育児目的休暇の導入・利用
・育児目的休暇を平成30年4月1日以降新たに導入したこと
・育児目的休暇に入る前に育休を取得しやすい風土づくりをおこなっている
・合計で5日以上の育児目的休暇を取得していること
→ 子の出生前6週間から出生後8週間までの間に取得していること
・育児目的休暇の制度を就業規則(育児介護休業規程)に定めていること
最新の法改正(令和3年1月1日)に対応していることが必要です。
・一般事業主行動計画の届出およびホームページ等への公表を行っていること
・対象者が雇用保険の被保険者になっていること
厚生労働省ホームページ参照PowerPoint プレゼンテーション (mhlw.go.jp)
まとめ
このように男性の育児休業取得には数多くのメリットがあります。
また男性の育児休業取得をさらに促進するため、このたび新たな制度「出生時育児休業」の法案要綱が発表されました。
新制度案の特徴
・子の出生後八週間に配偶者の出産時と退院時など二回に分けて育児休業を取得できること。
・取得可能日数は、4週間とする。
・取得申請期限を現行の「一カ月前」から「二週間前」までに短縮
・企業に対象者への制度周知と意向確認を義務付ける。
・労働者の意向を踏まえて、事業主の必要に応じ、事前に調整した上で、新制度に限り、休業中の就労を認める。
このように男性の育児休業取得を後押しする制度を整え、男性が休みたいと言いづらい職場の雰囲気を変えることで、男性の育児休業取得率を上げていく狙いがあります。
今後さらに充実する産休・育休制度を知り、助成金を活用して、働きやすい職場環境を整えていかれてはいかがでしょうか?
育児休業・助成金のご相談は、社労士総合労働相談事務所 陽だまりまでお気軽にお問い合わせください。